(1)はWeitzenbockの不等式といって、1961年の国際数学オリンピックに出た問題である。
しかし難しいわけではなく、今回の東工大問題セットの中では一番簡単な問題だし、客観的に見てもそれほど難しくはない。
ここは確実に抑えておきたいところだろう。
(1)は前述の通り数オリ過去問だが、座標に当てはめられてきちんと親切な誘導がついているのでそれほど難しくない。
(2)は(1)が解けた人にとってはサービス問題だと言える。
ちなみに、(1)のWeitzenbockの不等式のRavi変換を使った証明を自分のブログのこの記事
に書いてあるのでそれも参照してほしい。
問2は微分方程式みたいな問題である。(というより積分方程式である。) この手の問題は両辺を微分し続ければいい…と言えばいいのは分かるのだが何より計算がなかなか面倒である。 計算が煩雑なのでミスしがちではあるが、正しい方針はすぐに分かるようになりたいものである。
問3は複素平面の問題である…というよりこれ図書けば終わりやないかーい!! まあMの要素を列挙するのは難しいが、複素平面上の格子点と、逆変換した領域で考えれば楽になる。 あとはきちんと数を数えることができれば正解することができる。 あまり難しくはないが、面白みに欠ける気がする問題である
今年の東工大数学がレジェンドと言われる所以である。答えをだすのはまだできるらしいが、論証が鬼である。
とは言っても自慢げに二次数学の解答をHPに載せてるのに解けないというのはなんか情けないので考察した内容を垂れ流す。
これはCake number(英語版Wikipedia)と呼ばれるものである。
(1)については、$n=1,2,3,4$で$T_n=2,4,8,15$となる。また答えは多項式になるだろう。(よってフィッティングすれば答えは出る)
ところでこれは空間を平面でカットしているが、平面を直線でカットしたものを考えよう。
n本の(平行な組がない)直線で平面が$S_n$個の領域に分割されている状況で、さらに$(n+1)$本目の直線を引くことを考える。
するとその直線は他の直線と1つづつ交点を持つ。よってその交点によって$(n+1)$本目の直線は$n+1$本の線分と半直線に分けられる。
つまり$(n+1)$個の領域がそれぞれ2等分されるのである。よって$S_{n+1}=S_n+n+1$となるため、これを初項などを考えて解くと、
$$S_n=\frac{n^2+n+2}{2}$$
となる。
空間がn個の(平行にはならない)平面で$T_n$個に分割されている場合、$(n+1)$個目の平面でさらに区切ることを考える。
うまいこと行った場合、各平面と新しい平面との交点は$n$本の直線になり、その直線で新しい平面は$S_n$個の領域に分割される。
よって、うまいこと行った場合(ここの論証が難しい)、$T_{n+1}=T_n+U_n$となる。$T_1=2$であることなどから考えると、最終的に
$$T_n=\frac{n^3+5n+6}{6}$$
という答えが出てくるのである。
(2),(3)ではそれぞれ2番目,3番目に大きい状況はどうなるかについて解いている。これもまた論証が鬼である。
IQ3の状態で適当に考えた場合、(2)は$T_n-1$,(3)は$T_n-2$になる!としたいところだが、やはり情報を集めると、
(3)は$n=4$のとき答えは13ではなく、12になるらしい。つまり場合分けが必要とのこと。
これは少なくとも試験場では解けるわけがないというか解けたら天才だと思う。
(とは言っても実際の試験の採点では細かい論証の部分はどのようにしてるのだろうか。完璧な論証を求めるのだったらこの大問の平均点は0に収束するのでは)
問5はそれほど難しくはない問題である。(1)から(2)への誘導で、数学IIIの内容から数学Aの内容へ見事につながった。 $a$がなぜあんな変な値に定められているのかについても、計算すればこの値でないと問題が面白くなくなるからだと思える内容であった。