$$\sum_{n=1}^{\infty}\frac{n!}{n^n}$$ という級数が収束するか、収束するならばいくつになるかについて考察した。
ダランベールの判定法を使う。$a_n=n!/n^n$とすると、 $$ \frac{a_{n+1}}{a_n}=\frac{(n+1)!}{(n+1)^{n+1}}\frac{n^n}{n!}=\left(1-\frac{1}{n+1}\right)^n\to\frac{1}{e}< 1 $$ より、ダランベールの判定法より収束することが示された。
次の等式が成り立つ $$\sum_{n=1}^{\infty}\frac{n!}{n^n}=\int_{0}^{1}\frac{dx}{(1+x\log{x})^2}$$ 以下証明 Γ関数の性質から、 $$ (n-1)!=\int_{0}^{\infty}t^{n-1}\exp{(-t)} dt $$ が成立する。 これを適当に置換すると $$ \frac{(n-1)!(-1)^{n-1}}{n^{n}}=\int_{0}^{1}x^{n-1}(\log{x})^{n-1}dx $$ より、 $$ \frac{n!}{n^n}=(-1)^{n-1}n\int_{0}^{1}x^{n-1}(\log{x})^{n-1}dx $$ となる。ここで、関数列$f_n:I=[0,1]\to\mathbb{R}$を、 $$ f_n(x)=(-1)^{n-1}nx^{n-1}(\log{x})^{n-1} $$ とおくと、$|x\log{x}|<\frac{1}{e}(x\in I)$より、$x\in I$上で不等式 $$ |f_n(x)|\leq M_n=n\exp{(-n+1)} $$ であり、$\sum_{n=1}^{\infty}M_n=\frac{e^2}{(e-1)^2}<\infty$より、 ワィエルシュトラスの有級数判定法から $$ \sum_{n=1}^{\infty}f_n(x) $$ は$I=[0,1]$上で一様収束する。よって項別積分することができるので、 $$ \sum_{n=1}^{\infty}\frac{n!}{n^n}=\sum_{n=1}^{\infty}\int_{0}^{1}f_n(x) dx= \int_{0}^{1}\sum_{n=1}^{\infty}f_n(x)dx=\int_{0}^{1}\frac{dx}{(1+x\log(x))^2} $$ となる。
2017年5月某日、ダランベールの判定法の使用例として出てきたこの級数だが、具体的な値はどのように収束するのかについての質問が上がった際、講師の人が答えることができなかった。よってこれについて少し考察してみようとしたのがこのページを執筆するに至ったきっかけである。